窓付きのロフトが僕の場所

rofuto_mado
家庭を持った男なら誰でも自分の城を建てたいと思うものだろう。だから結婚して子供が産まれてそれまで住んでいたアパートが手狭になると、土地を買って家を建てようというのは自然な流れだった。設計の段階で、僕はどうしても自分の部屋が欲しいと主張したのだけど、予算の都合上それほど広い土地を買えなかったので、どうしてもそのスペースを確保することができなかった。そこで夫婦の寝室に窓付きのロフトを作り、そこを僕の場所とすることにした。天井が低くて常に中腰でいなくてはならないのはつらいけれど、城好きの僕からしたら、家で一番高い場所にある天守閣に自分の居場所を構えるようで気持ちがいい。まさに僕がこの城の主なのだから。

数か月かかって、僕たちの城が完成した。初めての内見の日、僕が一番楽しみにしていたのはもちろん窓付きのロフトだった。寝室から梯子を使ってロフトに登り寝室を見下ろすと、意外と高いのに驚いた。だけど窓から見える景色はもっと圧巻だった。周りに高い建物がないので、遠くの相模湾まで見えるのだ。しかも夏になれば花火大会の花火も見られるかもしれないとのこと。「パパばかりずるい」と子供たちにはブーイングを受けてしまったが。普通の子供部屋よりもこういう秘密基地みたいな造りの方が男心をくすぐるんだろう。たまには男同士でロフトで寝るのもいいかもしれない。きっと窓から入る風は気持ちいいだろう。

と思っていたが。夏になるとロフトの温度って尋常じゃないくらい高くなるということを、僕は初めて知った。窓を開けても何故か無風の場合が殆どで、締め切っているのとまったく変わらない。一度温度計を持って行って計ってみたら、40度以上あった。ほぼサウナ状態だ。そういうわけで、僕の天守閣、夏は立ち入り禁止状態となった。早く秋になって再びロフトで過ごせる日が待ち遠しくてたまらない。