中学の時の僕のあだ名はガラスワリゾウでした

kakkou_glass
昔からイジられキャラだった。いつも扱いは3枚目で、だけど友達は多かったと思う。何をしても恰好のつかない僕で、モテたことも人生で一度もないけれど、そんな僕に神様がご褒美をくれた。それが今の嫁である。小学校時代からの一緒だった彼女はずっとクラスで一番人気のマドンナ的存在だった。僕もずっと好きだったけれど、きっとこんな僕に振り向いてくれるはずはないと、小学生ながらに悟っていたものだ。ところが人生ってどうなるかわからない。僕が就職した会社に彼女が営業で来たことが縁で二人で会うようになり、そのうちどちらからともなく付き合うようになったのだ。地元の友達からも「どうしてお前が?」といまだに言われるけれど、僕もどうしてこうなったのかわからない。とにかく、ラッキーだったのだ。

そんな僕たち夫婦にも子供が産まれた。頼むから嫁に似てくれ、という僕の願いもむなしく、産まれたその瞬間から僕の息子は、僕のDNAを色濃く受け継いでいることがよくわかった。そしてその息子、大きくなるにつれて行動まで僕に似てくるようになった。何というか、動きがとにかくいちいちコメディなのだ。うちの母が、「小さい頃のあんたにそっくり」というので間違いないだろう。その息子が先日うちのガラスを割ってしまった。何を思ったか、嫁がピカピカに磨いたガラスに、鳥のように突っ込んでしまったのだ。ケガがなかったのが幸いだった。コイツばかじゃねーか?と僕が言うと、嫁が言った。「でもパパだって、中学の時のあだ名はガラスワリゾウだったじゃない」と。え?ガラスワリゾウ?口に出してみると、まるで魔法の呪文を唱えたかのようにそれまで封印されていた思い出が蘇ってきた。そういえば教室のドアが閉まっていることに気づかずに激突したり、蚊を潰そうと思い切り窓を叩いて割ってしまったりしてたっけ。血は争えないものだな、とワリゾウ2号を見ながらしみじみ思うのだった。